ポール・デュカス - Paul Dukas (1865-1935)
ピアノ・ソナタ 変ホ短調  Piano Sonata in E-Flat Minor

第一楽章 I. Moderement vite

第二楽章 II. Calme - un peu lent - tres soutenu

第三楽章  III. Vivement, avec legerete

第四楽章  IV. Tres lent - anime



この作品は1901年に作曲された大規模なピアノ・ソナタである。彼は自作に対して完璧主義を貫き通すために極端な寡作で1920年代には大半の作品を破棄してしまぅた。したがって残された作品は20曲程度と言われてる。
 作品は古典的な4楽章形式をとっていて「フランス風に解釈されたベートーヴェン」とも言われる。しかし、そのピアノ語法はデュカス独自のものであり斬新な和声や展開の仕方、および格楽章間の緊密性などが上げられよう。

 大変な傑作であるに関わらずこの作品が演奏会等ではあまり取り上げられない。その理由として、まず第1にピアニストにとってその負担が大きいことだ。曲の長さが40分に及ぶ上に技巧的に非常に困難さが伴うのである。第2に聞く側からすると玄人好みの晦渋さと曲の長さであろう。
 
下記の楽譜のように、左手のバスと旋律が呼応するようにメロディーラインを作り出し、なお且つ右手で3度を含む伴奏形を演奏する構造である。オクターブの低音と中音域の分厚い響きにメロディとのバランスをとらなければならない。

赤で示した音はこの曲の最下音の「ソ」である。この当時のフランスの作曲家には最下音に「ソ」を使ったものを時々見られるが、88鍵の普通のピアノでは弾くことは出来ない。実音で演奏できるのはベーゼンドルファーしかないだろう。88鍵のピアノで弾く場合は最下音の「ラ」で代替して弾いている。