フリードリヒ・ヴィルヘルム・ミヒャエル・カルクブレンナー
全ての長調と短調による24の前奏曲
24 Preludes dans tous les Tons majeurs et mineurs (pouvant servir d'Exemple pour apprende a preluder) Op.88
1.All di molto / C dur
2.Con brio / c moll
3.Moderato / Des dur
4.mod e legatissimo / cis moll
5.Brillant / D dur
6.Energico / d moll
7.All di molto / Es dur
8.Moderato / es moll
9.Tempo giusto / E dur
10.Vivace / e moll
11.All ma non troppo / F dur
12.Lento / f moll
13.All non troppo / Fis dur
14.Molto all e agiato / fis moll
15.Andante Sempre legato / G dur
16.Moderato ma risoluto / g moll
17.Adagio non tropo / Aes dur
18.All tempestoso / gis moll
19.Con fuoco / A dur
20.Andante / a moll
21.All di molto / B dur
22.Adagio / b moll
23.Lento sempre legato / H dur
24.All agitato / h moll
カルクブレンナー(1755年〜1806年)。パリ音楽院で専門教育を受け、間もなく演奏活動に入る。その後ウィーンでハイドンの指導も受け、クレメンティとも出会った。1814年から1823年には、華麗な演奏家および名教師としてロンドンで名声を得て、その後オーストリアとドイツでの演奏会を経てパリに戻った。裕福となった彼は、プレイエル・ピアノに出資してその名声と発展に寄与した。
彼の「ピアノ奏法の技法」(1831年)は、当時のピアニスト志望の若者をひきつけ大都市パリには多くの弟子たちが集まった。パリに着いたばかりのショパンも彼に師事しようとした話も有名である。彼の最も優秀な生徒はマリー・プレイエルとカミーユ=マリー・スタマティであった。スタマティを通じて、カルクブレンナーのピアノ技法はゴットシャルクやサン=サーンスへと受け継がれた。サン=サーンスのピアノ曲がカルクブレンナーをはじめとするフランス・ピアニズムの延長線上にあるというのも肯けるところである。
24の前奏曲と聞くとショパンのそれを連想する方が多いかもしれない。時系列から考えればカルクブレンナー(1827年出版)が先でショパン(1839年出版 )が後になるだろうから、ショパンが彼の作品を参考にしたといえるだろう。全体の曲想や作品の構成もよく似通っていて、何かはじまるのかな?と思っていると雰囲気だけで通り過ぎる、風が次々と吹いてきて去っていくような趣である。カルクブレンナーの曲は後半になると対位法の技法が見かけられるが、これは荘重なバッハに対する敬意なのだろうか。
調性的には、ハ長調>ハ短調と同名調で半音づつ上昇して最後はロ短調で閉じている。調性の配列はバッハの平均律に準じている。