矢代秋雄 (1929-1976)
ピアノ・ソナタ (1961年改訂版)
I. Agitato
II. Toccata
III. Theme et Variations. Lento
この作品は1960年に作曲された。当時は前衛音楽が盛んで多くの作曲家が新しい試みを行っていた頃である。そうした中で矢代秋雄は西洋音楽の伝統を基として構築的な作品を発表していった。このピアノ・ソナタは現代日本音楽の中でも代表的な作品の一つに数えられる。また演奏するピアニストも多い曲である。
この曲を演奏してみると最初に強く感じるのが矢代秋雄の個性である。それを理解しないと彼の作品は他人を受け入れてはくれないのである。西洋人にはない不必要なものを切り捨てて研ぎ澄ましていくという日本人特有の美意識が必要となる。
楽譜も詳しくみていくと彼独特の書法がいたるところにみられる。例えばフェルマータとlocというテンポに関する書き方や、左手はmpで右手はppとか強弱に関する(ピアノ的に言えば音色の指示とも受け取れよう)等である。